弁証法的行動療法劇 [堂本剛]
プラトニック
第4回「いつかの少女」
タイトルが・・・何だねー。イツカノ沙ヨナ良でタイトルとストーリーが一致しないのだ。
第4回目にして沙良さんのというより望月一家及び油井雅子伯母さんの心の闇が引きずり出されてきた。
布石はありまして「美し過ぎるヒロインの悲劇」が周囲の男性を引き回す、勘違いさせる魔性の女性が顔を出す。
少女の無垢な0と母親の百、0か百中間が無い。どっかで聞いたことのある理由でした。
それはマーサ伯母さんも同じ、沙良を捨てた母親も同じ、
もしテツさんがマーサ伯母さんの運命の恋の相手だとしたら「黙して去る」の人品は「青年」と通じる。
望月家の美貌の家系が回りをかく乱させるんかな?今回は「下品」というワードも登場している。
親の都合で幼少期から大人に媚びるジュ二アアイドルをしてると「マセた少女」が大人になって「下品」がついて回ると悩むコンビ二の女客。
沙良さんの中に「いつかの少女」はまったく見えずクルクル時計を逆回転しているのは本人だけに見える。
「青年」はひたすら他人の行動の受容とポジティブシンキングでを次第に周囲の人々に生きることのモチベーションを高めているんだと思った。
アメリカの心理学者の開発した弁証法的行動療法に似てる。
弁証法は古代ギリシャで対話を通して事物の真の認識とイデアに到達するソクラテス、プラトンの仮説演繹的方法(問答法)をいう。とあり対話から得る情報で推理して成り立つ。
その弁証法の対話を利用した医療法は境界性パーソナリティ障害(沙良もこの障害を持つ)の治療に特化している。
特に「自傷・自殺」自傷行為の精神療法として推奨されてる。
ネットで辿りついたのは「青年」の行動のヒントが弁証法的行動療法です。
命の期限を知ったことで「青年」がネットカフェ難民時代時に調べあげたであろう「自分の望みをかなえる」弁証法的行動療法のスキルが網羅されていて驚いた。
哲学と医学の合体です。
Wikipediaより
弁証法的行動療法(べんしょうほうてきこうどうりょうほう - Dialectical Behavior Therapy, DBT )とは、アメリカの心理学者マーシャ・リネハンが開発した認知行動療法の一種である。境界性パーソナリティ障害の治療に特化しており、アメリカ精神医学会は境界性パーソナリティ障害の精神療法として推奨している。また同疾患において数少ないエビデンスの確認されている精神療法でもある。
自分の望みをかなえる
自分の目標を達成し、望むものを手に入れるために必要な技術を獲得していく。
キーワードは「DEAR MAN」である。弁証法的行動療法では日常で忘れずにスキルを使えるように、しばしばこのようなキーワードが登場する。
DEAR MAN
- Describe(状況を客観的に描写する)
- Express (状況についての意見・感情をはっきり表現する)
- Assert (相手に行動をおこさせるために、要望を主張する)
- Reinforce (行動が良い結末をもたらすことの強調)
- stay Mindful (心の動きに集中させた状態を保つ)
- Appear confident (確信・自信に満ちていることを示す)
- Negotiate (自分と他人の要求に折り合いをつけるために交渉する)
対人関係を保持する
対人関係を維持するためには「GIVE」の頭文字ではじまる要素が必要である。
- be Gentle (穏やかで節度のある態度を心がける)
- act Interested (相手に関心を持っているように振舞う)
- Validate (相手を肯定する)
- use an Easy manner (和やかな態度を示す)
自尊心を保つ
自尊心を保ち、自分自身を尊敬し続けるためには「FAST」のキーワードの要素が必要である。
- be Fair (公正であること)
- no Apologies (むやみやたらに謝罪しない)
- Stick to values (自分自身の価値感を守る)
- be Truthful (誠実であること)
感情調節スキル
BPDの患者は不安定な感情に支配されることが多く、その不安定さが自殺関連行動など、行動面での機能不全を呼んでいる。
行動を起こすことは、辛く耐え難い感情の迅速な解決手段になりうる。
大抵のBPD患者は感情制御のために「何も感じないように」生きていることが多い。
BPD患者にとって感情調節スキルを学ぶことは、単純で簡単なことではない。
なぜなら、BPD患者の多くは、感情を過度に制御することを強要される環境で育っており、そしてそれを示せない自分自身にたいして劣等感を植え付けられる経験も周囲から与えられていることが多く、BPD患者が感情調節を受け入れるのには抵抗があるためである。
よってこの感情調節スキルは、自己肯定に使われるという意識を持つことが大切である。
感情調節スキルトレーニングでは、まず自分の持っている感情に付き、理解し、描写し、その上で解決を図っていくという訓練をしていく。
- 今ある感情を観察する
- その感情を描写する
- 感情の性質を理解する
- 感情のメカニズムを理解する
- ネガティブな感情を減少させていく
- ポジティブな感情を増加させる
ネガティブな感情を減少させる
ネガティブな感情を減少させるためのキーワードは「PLEASE MASTER」である。
- treat PhysicaL illness (身体疾患の治療) - 身体の病気に罹患していると否定的な感情に対する抵抗が弱まるため。
- balance Eating (バランスのとれた食事) - 多すぎても少なすぎてもいけない。
気分の良くなる食べ物・悪くなる食べ物について話し合う。 - avoid mood-Altering drugs (気分を変動させる薬物を避ける) - アルコールや薬物も否定的な感情に対する抵抗を弱める。
- balance Sleep (適度な睡眠) - 自分が気分良くいられるだけのほどよい睡眠を心がける。
- get Exercise (運動する) - 適度なエクササイズ。有酸素運動は継続して行うと抗うつ効果や統御力を高める。
- build MASTERy (統御力を養う) - 自信と能力を高める。
ポジティブな感情を増加させる
愛、喜び、誇りや自信、平穏といったようなポジティブな感情を増やしていく。
- ポジティブな経験を積み重ねる - 短期的には好きなこと、楽しいことをする。長期的展望としては目標を作り努力する。
人間関係に目を向けるなど。 - ポジティブな経験に心を向ける - 起こった良い出来事のほうに目を向けるようにする。
- 心配事に気をとめない - 今の幸運はいつか終わると考えないこと。自分は幸せになる価値があるのかと考えない。
苦悩耐性スキル
苦悩耐性スキルは主に短期間の苦悩に耐えるための「危機を乗り越えるストラテジー」と、長期間の苦悩に耐えるための「現実を受け入れるためのガイドライン」の2つ存在する。
「危機を乗り越えるストラテジー」は主に「気をそらす」「自分を落ち着かせる」「その瞬間の体験を好ましいものに変える」「良い点と悪い点を考える」の4つのストラテジーを挙げている。
危機を乗り越えるストラテジー
気をそらす
キーワードは「Wise Mind ACCEPTS(賢い心で気をそらす)」である。
- Activities (とにかく活動する) - 掃除をする。散歩やイベントに出かける。ノンカフェインのコーヒーや紅茶を飲む。ゲームをする。
- Contributing (何かに貢献する) - ボランティアに参加する。誰かのために何か作る。
- Comparisons (自分より苦しい立場にいる人と比較する) - 自分より不運な人と比較する。災害や人の苦難のニュースを読む。メロドラマを見る。
- opposite Emotions (正反対の感情を生み出す) - 感動的な本を読む。恐怖映画を見る。古い手紙を読み返す。
- Pushing away (しばらく放っておく) - しばらく考えることを止め気持ちを放りだしてみる。
- other Thoughts (他のことを考える) - 10数える。テレビや雑誌を見る。パズルをする。
- intense other Sensations (他の激しい感覚を起こさせる) - 手に氷を握る。ゴムバンドを手首に巻き引っ張って離す。ゴムボールを強く握るなど。
自分を落ち着かせる
視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚のすべてにおいて感覚を鎮め、自己緩和する。
- 視覚 - 部屋に花を置く、バレエやダンスを見に行ったり、自然風景を見に行く。本の中の絵画を見る。綺麗に爪を整えるなど。
- 聴覚 - 美しい和む音楽またはエキサイティングな音楽を聴く、自然の音に注意を向ける、お気に入りの歌を歌うなど。
- 臭覚 - 香水をつける、アロマキャンドルを灯す、森林浴をするなど。
- 味覚 - 身体に良い食事をとる、1つの食べ物をよく味わいながら食べる。ハーブティーやホットチョコレートのような緩和作用のある飲み物を飲む。
- 触覚 - ジェットバスに入る。犬や猫と戯れる。心地よい椅子に座る。誰かをハグする。シルクのシャツを着るなど。
今この瞬間を好転させる
キーワードは「IMPROVE」である。
- Imagery (イメージする) - 気をそらしたり、勇気や自信を強化したり、安全で安心な場所に行けるリラックスしたイメージを持ち、将来自分が報われることをはっきりとイメージする。
- Meaning (苦悩に意味付けをする) - 苦悩に意味づけをすることは多くの危機的状況にある人の人生を救うとされる。苦悩に価値、意味を見つける。可能な限りポジティブな側面を抽出してみる。
- Prayer (黙想する) - 状況に対して完全に自分をオープンにする。
- Relaxation (身体をリラックスさせる) - 危機的状況で身体が緊張状態に変化するのと反対に、リラックスさせることで心身のコントロールをする。
- One thing at a tirne (一度に1つのことをする) - マインドフルネス・把握スキルその2と同じである。
- a brief Vacation (短い休暇や休憩をとる) - 適度な休憩・休暇をとる。20分ふとんに入る、海辺に1 - 2箔する、きつい仕事の合間に1時間休憩をするなど。
- Encouragement (自分を励ます) - 自分を勇気づける。「私は耐えられる」、「いつかは終わる」、「私は頑張っている」などの言葉を言い聞かせる。
良い点・悪い点の両方を考える
現実を受け入れ耐えることと、現実を拒否し耐えることの良い点と悪い点をそれぞれ考える。
ここでは現実を受け入れ耐えたほうがより良い結果が導き出せる事実と向き合い、受け入れていく訓練をする。
現実を受容するためのガイドライン
「現実を受容するためのガイドライン」はマインドフルネスの延長のようなスキルである。訓練方法は以下の通りである。
- 呼吸 - 自分の息使いを感じるための呼吸の練習をしていく。
- 微笑(Half-smiing) - 顔をリラックスさせ、ハーフスマイル(微笑)を作る練習をする。
- 意識すること - 全ての日常の動作を注意深く意識しながら行う。