ゲームしない？ [ココロ目]
放送終了後20日も経とうとしている今になって「自己犠牲」の代表的な映画を三本観る。
一つは宮澤賢治のアニメ「銀河鉄道の夜」
一つは同じく宮澤賢治のアニメ「グスコーブドリの伝説」
かなりの回数をリピートしてるが、哲学を持ち宗教を熟知した宮澤作品は宇宙真理で自己犠牲、懺悔、死、愛、家族をファンタジーで描ききる。
「世界のすべての人が幸せでなければ個人の幸せはあり得ない」宮澤の「本当の幸せ」に辿り着く構想です。
野島伸司ドラマの主題が不透明な為、宮澤賢治の作品で「本当の幸い」を追いかけていたのですが
今日見たのは自己犠牲がテーマの映画「７つの贈り物」
「銀河鉄道の夜」の中にも不条理と理不尽はある。
母親の病気に必要な牛乳が手に入らず失意のジョバンニを「銀河鉄道」が突如現われ乗車へと導かれる。
座席にはいつのまにか学校で心無い級友から庇ってくれる唯一の友、カンパネルラも同乗していた。
天上へ向かう銀河鉄道で母親のいるという「天上の駅」ではカンパネルラは下車できません。
降りた駅は違う駅でした。
地上へ戻されたジョバン二は心優しいカンパネルラがイジメっ子の級友ザネリを助けたあと溺死し銀河鉄道の列車に乗車してたことを知ります。
他の乗客でも自己犠牲により「自分たちより小さな命」を救うため死んだ姉弟は「天上の駅」で降車します。
友だちを救うため自分の命を落としたカンパネルラは母親を悲しませた借財があり母親と同じ「天上の駅」で降りることを許されなかった。
主人公の「ジョバンニ」は病気の母親の世話と漁に出たまま戻ら父親を待つために銀河鉄道から地上に戻らされるということになります。
本当の幸せのために・・・ここで「青年俺」が弟へ「助かるかもしれない」は両親に伝えてと欲しいと連絡するシーンは成立する。。
悲しみのドン底にいる家族を救いたいと思った瞬間「俺」にもどったんだ・・・。母親を悲しませること泣かせるのはそれだけ罪が重い。
親の苦しみの一番は我が子が自分たちより先に死ぬ事です。
宮澤賢治の心酔する仏教「法華経」永遠の存在の仏が様々な仏と姿を変えて人々の救済のため現世に現われる思想。
西方浄土で仏になるため現世で信心を重ねる家の宗派「浄土真宗門徒」を離れます。死んでからの世界に救いを求めるのではなく「生きてる現世」で徳を築き
「天上よりもいい場所をつくる」が思想のもとになる。
冷害から国を救う為に命を差し出すグスコーブドリと心臓を提供する「青年僕」が重なり、今の僕に出来ることをする。
「７つの贈り物」は主題も物語の導入シーンも「プラトニック」そのもので少なからず制作者は意識したに相違ない。
映画の中で重度の心臓病のエイミーと結ばれたベットで彼女が
「ゲームしない？」
の台詞を発した時、プラトニックはぶっ飛んだ。
ストリー前半から伏線伏線伏線の連続で何を見させられてるのか解らない構成です。
自ら命を断つのは宗教上法度の国の映画です。
その法度を超える道義にはケータイというテクノロジーが原因で起こした交通事故。
７秒で７人の命を奪うという悪夢が導火線の劇です。
「懺悔」ありきで進行し、後半のタイムリミット（主人公エイミーの心臓病の悪化）により自殺を早め死を決意する主人公。
良くあるリンカーネイション（転生）はシネマでも多い題材ですが、人の命を奪う「軍隊」を持ち、報復してはならない「宗教」を持つが戦争はするその宗教にも自己を捨て他人につくすことは尊いという教えがある。
自分の肉体を献上することで許しを請う行為が「自己犠牲」としてテーマになってる。
見終えて宮澤賢治が求めている「本当の幸い」は道理が通り合理だと思う。
生きて還す「銀河鉄道の夜」
死して救う「グスコーブドリの伝説」
死して他者の人生を良き方へ変える「７つの贈り物」には懺悔とみなされ償いは自己満足、自己救済に思えた。
自己犠牲とは考えたくは無い、これはドラマ「プラトニック」と同じ感想でした。
エンディングの感動シーンに気をとられてテーマを見失う。
そのテーマそのものを「丸投げ」で見ている側に委ねる・・・シナリオの行間を役者が埋めるのを期待していた方式です。
ドラマのテーマにも当てはめているようで見終えての感想が多種多様です。
それがドラマ終了後も寄せられる掲示板の視聴者のコメントが証明しています。
出口が用意されてない迷路に入りこみ、動き回るだけで疲れ果てるのを待つのみです。
つけたままのTV画面から放送された「７つの贈り物」なんで今日なんだろう。
ゲームしない？
背筋の凍った映画の中の台詞でした。
