大阪松竹座の本気 [小喜利の私]
大阪松竹座
定式幕(じょうしきまく)イラストの黒衣さんが覗いてますがそんなことは一切ない。
黒衣さんの黒は見えないことがお約束。
初日の二階席で気がついた。
幕合のBTの時のみにひかれるこの黒、柿、萌黄色の縦縞の幕。
人間ひとりが全身の体重をかけ前にのめるように一気に走り抜けたのです。
舞台から体が見えないように幕に巻き込むようにして黒い塊が走ってたのです。
緞帳、霞幕が機械のスイッチで上げ下げされるのとは違い
人の「手と足」が巨大な定式幕を動かしているのに感動した。
相当の経験を積まないと任されないであろう幕引きさんでした。
たった独りの演者の「小喜利の私」には見えない人たちのチカラで作りあげているのをその時に感じた。
決まりごとの厳しい歌舞伎の世界で剛さんの「独演会」にこの幕が登場したのです。
感動には理由がある。
「面白かった、楽しかった、大笑いした」でおしまいになる。
今回の小喜利の私には「嬉しかった」が加わる。
見落としてしまえば気にもとめない裏方のお仕事です。
その嬉しさは大勢の表舞台には登場しない仕事人のチカラがあったんだね。
開演を告げる大太鼓、ご褒美の登場を告げる拍子木のツケ(陰打ち)伝統の音を生で体験させてもらった。
幕引きさんだけではありません、大道具さん、美術制作さん、小道具さん、音響さん、照明さん、そしてフロアで迎えくれる大阪松竹座のスタッフさん。
一流の集団が一丸となる舞台裏が「定式幕」を引く姿を見て想像ができたのです。
世界に誇る日本の総合芸樹歌舞伎、身近に感じたられた三日間は嬉しかった。
松竹の誇り、この紋章が心を一つにさせるんだね。
「この日、三日間松竹座のスケジュールが空いてるから・・・」
それだけの偶然では済まされな運命が動いたんだと思うのです。
「小喜利の私」が大きく、進化し本気の演目となるのにチカラを頂いた大阪松竹座さんでした。