水煙と炎の男 [小喜利の私]
9月16日から始まった薬師寺さんの東塔水煙降臨展を見にゆく。
前回見たのは何だったんだろう・・・と思う、本物の古色然とした風雪の重みに圧倒された。
遥か34m上空の天女さんが目の前です。
館内撮影OKということですが実物は違う。
感動の実体験はこの復興御用材。
匂いがあるのです。
といっても伽藍用木材、現在は輸出禁止の貴重な台湾檜、樹齢千年が展示されてる。
禁止以前に台湾から寄進のあったとのことで今回の修理に使われます。
この檜(ひのき)香りがちゃんとある。
檜独特のツーンと鼻を刺激する薄荷のようなヒノキチオールが出ているのです。
宮大工の達人のコトバが思い出されますね。
「樹は切られても生きている」
それも千年も。
檜は中心部は空洞なので周囲を柱や部品に使用する。
東僧坊(売店、休憩所のある建物)には2,500年物にくり抜き部位を説明したオブジェがあります。
今まで気にもしていなかったがスゴイものが展示してあったのです。
前回の西塔で使用した木ですがこちらは匂いは無かった。
肝心の天女さんは銅を金箔で被うが突き抜けて緑青が出てまだら・・・でこんななのです。
近くで見ればいいとは限らないんだね。
なんでもピッカピッカが良いとは限りませんが1,300年前は息をのむほど美しいお姿だったと思う。
水煙は炎の様を図案化したものですが大事な塔に火は向かないので「水の煙」と呼び名にしたと説明がありました。
火は大敵ですからね、でもこの水煙は建立してから度重なる火事や戦で建物が燃えても唯一残った奇跡の飾りなのです。
その意味でも火災から守る・・・天女さまです。
61年ぶりに私たちの間近に降りてきてくれました。
炎といえば・・・
生まれ変わったあの男です。
水の妖精で飛天ではありません。
毎度呼び名も変わります。