椿散る [ココロ目]
美しい時代劇を撮りたい
散り椿
黒沢明監督没後20年の今年クロサワ全作品の撮影助手だった木村大作の監督・撮影の映画が公開された。「追憶」(降旗康男監督)で准くんを撮って惚れたらしい・・・。昭和の本物の時代劇を平成最後で残してくれてた。見終えての感想は小さなミフネの岡田君が殺陣で奮闘していた。岡田君の尋常じゃない身体能力の体幹は素晴らしく、スタント無しで名シーンを残した三船敏郎が蘇って鑑賞中も「ホーっ」「ヒェ〜」「うーん」うなりぱなしであっという間に映画が終わった。
「椿三十郎」名シーンラスト0.1秒の居合抜き名シーン
次のカット、速すぎて理解できないまま仲代達矢から血しぶき
CG合成のない時代、カメラマンの腕の見せ所で木村大作助手のフォーカスがクロサワに愛された理由。
昭和の時代劇は東宝のクロサワ監督から大映市川雷蔵、東映の剣劇、極道映画、平成は清貧の下級武士哀愁、算盤、料理、健脚と物語性に代わり殺陣で魅せるのはクロサワ映画だけが唯一の遺産でした。「散り椿」のような刀を武士の殺傷道具として覚悟がなければ鞘から出さない姿の展開は殺陣が本物に見えないと成立しない。物語の藩の不正の政道を正す展開はNHK時代劇「風の果て」「一路」の主題に近いが映画は「殺陣」が抜きん出て気の毒なことに相手役が岡田には不足な事態になっていた。日々鍛錬や稽古をしている人はそれがキッチり出て見比べてしまうのです。
「椿三十郎」の後を追うような「散り椿」は木村大作の人生を捧げた日本映画へのオマージュのように思います。平成最後のサムライでした。
1990年公開「女帝春日局」撮影で木村大作氏とはで剛さんとお仕事しているのです。
毒味役として若君を救うため廊下を庭越しに飛ぶシーンの「体幹」は10歳ながら見事でした。
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